記事一覧

目利きのポイント 事業素質

事業領域、商品の内容・特質、業界動向の面から調査しよう

融資先企業の事業内容を熟知することは「目利き」の第一歩である。そして事業内容を知るには、まず、事業の基盤となる事業素質の良否を調査する必要がある。そのための切口としては、「事業領域」「中核である製品・商品あるいはサービスの内容、特質」「業界動向」があげられる。この認識が不十分のままでは、企業の事業内容を適切に評価することはむずかしい。事業領域とは「経営理念に基づき、どんな事業で成長・発展していくかを示す企業の拠って立つ基盤」のことで、簡単にいえば「企業は何を生業(なりわい)としているか」ということである。

そこでは事業領域と経営理念の整合性をチェックし、さらに事業領域の設定が「顧客志向」となっているかを検証する。自社の製品やサービスに対する思い入れが激し過ぎ、顧客ニーズを軽視した独り善がりの経営のもとでは、さらなる事業の成長・発展は望めない。次に、事業の中核である製品・商品やサービスの内容や特質、業界内でのシェアを診る。すなわち、その製品・商品やサービスがPPM理論でいう「商品のライフサイクル」のどの段階にあるかを調査する。

市場の成長性は見込まれるが当該企業のシェアが低く投人資本額に見合う収益確保が困難な「問題児」商品であれば、今後のシェア獲得見通しいかんによって事業の先行きが左右される。企業の市場シェアが高く市場自体の成長も旺盛な「花形」商品であれば、シェア維持のために引き続き資本投下が必要である。市場の成長は鈍化しているが企業の市場シェアが高く安定的な売上確保が可能な「金のなる木」であれば、資本の追加投人は少なくて済み、経営上のうま昧は大きい。しかし近い将来、成長が止まり商品としての価値もなくなる「負け犬」になることが予想される。

事業展開としては、「花形」や「金のなる木」を数多く所有しながら、次のヒット商品をねらう「問題児」段階の研究開発を怠らない姿勢が望ましい。「負け犬」商品からは早期撤退することが当然である。業界動向については、業界全体の成長性と特徴を把握し、対象企業がそのなかで生き残っていけるかどうかを見極める。業界の成長性と特徴については、技術革新、代替製品の脅威、業界を構成する企業数や競争の状況、他の業界との交渉力等をチェックし、企業の生残り見通しについては、そのための具体的戦略が描けるか否かの観点から検証する。